記憶中毒
何となく
何となく憶えている。

自分の中で一番古い遠い記憶。

何となく憶えている。

2〜3歳の頃、駅前のアパートの二階に住んでいたようだ。
毎朝、通勤でにぎわう?人通りを窓の側に腰掛けて
一人でずっと眺めていた。

後ろの方で呼ぶ声がする。

振り向くと女の人が呼んでいる。

今思うとそれは母親で、まだ小さい自分は
それが母親とは認識していないようだ。

道行く人が好きなのか、動くものが好きなのか。

水槽の中で泳いでいる魚や
道端で同じところを行ったり来たりしている蟻を見たりするのは
結構好きかな。

生あるものに興味があるんだろう。


小さな子供たちがビーチボールで遊んでいる。

その傍らで、小さい自分が座り込んで
蟻を見ている。

ビーチボールが飛んできて
蟻にぶつかった。

小さな自分は泣いた。


今日も小さな自分は朝から窓の外を眺めている。

道行く人が笑顔で手を振っている。

小さな自分はそれに答えた。

その頃から人の笑顔が一番好きだ。

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