記憶中毒
ついて来るなと言った
駅前のアパートから引っ越したみたい

親戚の伯母さんが住んでいるアパートの近く

6畳一間の小さな我が家

いつの間にか弟がいる

いつも小さな自分の後をついて来た

近所の雑木林でザクロやアケビ、キイチゴやグミをとって食べた

この頃はお小遣いを持たずとも おやつには困らなかった

遊んでいると知らない小母さんがおやつをくれた

小川や雑木林で魚、虫を捕まえ飼育したりもした

誰に教わることもなく自然と情操教育が出来ていたように思う

いったん外出すると日が落ちるまで遊びに困ることはなかった

今日も弟がついて来る

遠くへ行くからだめといっても距離を置いてそこにいる

畑の中をぬけ コンクリートで固められたドブの

平均台のような細い足場を渡る


弟はついて来れないと思った


四つんばいで渡ろうとした弟がくるりと回転して落ちた

小さい自分はどうすることも出来ずその場で固まっている

とうりがかりの小父さんが助けてくれた

弟は泣きじゃくり 走って帰っていった

心配で帰宅すると父母に嫌と言うほど叱られた

「 お兄ちゃんなんだから 」 と・・・

「 ついて来るなと言った 」
怖くてこの一言が出ない



僕だって小さいのに


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